「私は裁判所で相続放棄しましたので父の借金は私には全く関係ありません」
この様におっしゃる方がいたとします。
さて、これに対する私の回答が、
「あ、裁判所で相続放棄の手続をしたんですね。じゃあ大丈夫ですね!」
・・・となるかというと、さにあらず。
相続放棄は、「その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす」(民法939条)だけですので、相続人の方自身が元々負っていた債務を免れさせてくれることにはならないのです。
ですので、たとえば、その方がお父さんの借金を連帯保証していた場合は、お父さんの借金(「主債務」といいます)は免れても、連帯保証人としての責任は依然として残っているのです。
もしかしたら、お父さんのその借金は、お父さんが亡くなったことで「期限の利益」を喪失する取り決めになっているかもしれません。その場合は、連帯保証人が残債務を一括で支払わなければならないことになってしまいます。お父さんが亡くなったことで、相続人がいきなり矢面に立たされ、いきなり全額弁済を求められることになるのです。
この場合、打つ手があるのかないのか。弁護士さんに相談してみて下さい。
(石原)